2013年2月12日火曜日

土偶と現代のキャラクターの共通点


日本の土偶はシンプルかつ特徴をよくとらえており、表情豊かだ。
日本の現代のキャラクターの起源は土偶にあるような気がする。





縄文のビーナス:長野県茅野市棚畑遺跡で出土/縄文時代中期(紀元前3000年-2000年)



縄文のビーナスはとてもシンプルで美しい。
角がなく滑らかな丸みを帯びた形状で成り立っている。
顔も非常にシンプルで目は細い線2本で表されている。
デフォルメされた下半身はかなり大きめに表現されており、足もかなり太い。
そしてなによりすごいのはネガティブスペースまで美しいということだ。
この時代にこんな物がつくれたなんて本当にすごいことだと思う。



日本のキャラクターはたくさんあるが、シンプルな形のものが多いように見える。
例えば日本人によく愛されているガチャピンだが、特徴を強調され、簡潔化されている。
縄文のビーナスと比べるとさらに形は簡素化されている。
首や足が太い所、身体のカーブのラインなどの共通点がある。
子ども向けのキャラクターではあるが、ガチャピンは広告にもよく使われる子どもから大人まで幅広く愛されるキャラクターだ。


            

ガチャピン



土偶の後に作られた埴輪にも今のキャラクターの特徴と共通する要素があると感じる。
埴輪は愛嬌のある顔が多く、ポーズもかわいらしい。
形状も質感、色からすべすべとした感じがしてかわいく、やわらかいというイメージがある。
不思議とユーモアあふれる顔のキャラクターに囲まれると気が抜けた、脱力するような気持ちになる。
馬もデフォルメされて足が非常に太い。











































特集陳列「古墳時代の人々―人物埴輪の表情と所作―」



現代のイラストレータ、アーティストに描かれたキャラクターをみていると、どことなく埴輪の表情を連想させるものがある。
日本にはかわいいものがあふれているが、もともと日本人には埴輪をつくるようにかわいいものをつくる傾向があるような気がする。
もともと日本人の顔つきがこのような雰囲気をもっているのかもしれないが、ずっと引き継いで来た美意識のようにも見える。




たれぱんだ:1999年に大ブレーク



安西水丸さんのイラスト




猪熊弦一郎さんのドローイング



同じ時期に出土された海外のテラコッタと縄文ビーナスを比べてみる。
モヘンジョ・ダロで作られた地母神の顔はくりぬいて作っているのではなく、上から目や口となる部分を貼付けて作られている。
唇が厚めに作られていたり、上を向いているため、動的で表情豊かに見える。
モヘンジョ・ダロの夏の平均気温は45度以上にもなる。
暑い地域特有のオープンさが自然と表れているようだ。



3人のテラコッタ製の女神のフィギュア:モヘンジョ・ダロ、パキスタン(紀元前3000年-2000年)



日本の縄文ビーナスは目と口は彫られて作られている。
真っすぐ正面を見ているため静的な印象を受ける。
大人しげな表情だが、その表情にはわび(時間の経過によって劣化した様子(経年変化))・さび(粗末な様子、簡素な様子)が含まれているような面持ちがある。

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